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死に数学は効かない

あらゆることを。

冬が終わる冬が終わる春に殺され冬は死ぬいつの世も人は春を待ち望むいつの世も人は冬を悪み嫌う冬は口を開かない冬は決して文句を言わない冬は涙を雪に変える冬は嗚咽を風に変えるいつの世も冬はやって来るいつの世も冬は過ぎていく人は都合良く冬を褒める…

See You My Name

どこにも属せないどこにも属せなかったどこにも属せないのだろうたくさんのカテゴライズされた私は、そのカテゴリーの中ですら息ができなかった息の仕方を教えてくれるのは、いつも個だった人間は社会的動物だと定義されているらしいみんなは社会的なんだろ…

偽りのボニー&クライド

私たちは一生目を合わせられないだろう私たちは一生愛し合えないだろう私たちは一生写真を撮らないだろう私たちは一生抱き合わないだろう私たちは一生あの人を見続けるだろう私たちは一生諦めきれないだろうしかし私たちは銃を手に取ることができるしかし私…

補色Ⅱ

彼/彼女は、諦めるフリがうまい人であった彼/彼女は、諦めることができない人であったじっとドアを見つめていた彼女は本当は彼が残り香を道に置き続けることを知っていた彼は彼で、まるでヘンゼルとグレーテルように、パン屑を道に置き続けたそして鳥たちは…

補色

彼女は鋭い視線に静かすぎる意志を宿していた。 「あなたの寂寞を少しでも和らげさせることができるのは、私ではないわ。」 静かにグラスを撫でる指先は、何も捉えることのできないそれだった。 「どうしてそう断言できるんだい?」 彼もまた、小さいがよく…

諦念

諦めていない人間ほど 諦めたフリが上手い諦めていない人間ほど 感情を隠すことが上手い諦めていない人間ほど 人を受け入れることが上手い諦めていない人間ほど 息を殺すことが上手い諦めていない人間ほど 色を捉えることが上手い諦めていない人間ほど 美し…

横顔

瞳を忘れたから 君は私の中で死んでしまったあれだけ見つめていたのに いつも君の横顔が輝いていた鼻のラインが美しくて 私はそれを描こうとしたそれを君が見ることはなかった それを私が見せることもなかった執拗に執拗に執拗に執拗に 君を描き続けている …

状態変化

人間の人間による状態変化は可逆的だろうか固体の人間の融点、昇華 液体の人間の沸点、凝固点 気体の人間の凝縮、昇華ほとんどの人間は自分の状態を変化させることができるらしい美しい人々は頑固にも状態を変えないそのままの状態で生き続けたい人々 本当は…

誰にも見られていない自分を好きになる癖存在認識への恐怖と承認欲求への嫌悪自分を形成しているものはただの原子であること愛を歌う曲がこの世には多すぎる人は分かった気になることだけが得意らしい蹴り続けたら死ぬ殴り続けたら死ぬ炙り続けたら死ぬ生か…

無能

幸せの定義が分からない癖に、人の幸せを願っている無能背中を向けて逃げ出してばかりな癖に、話しかけられたら振り向いてしまう無能常に弾切れの銃を人に向けている癖に、握手を求められたら応えてしまう無能自分をコントロールできた試しがない癖に、世の…

漸近線

私たちはいつも遠くにいるね お互いの顔をもう思い出せないよ 近づいても近づいても重ならない私たちは 一体何処まで歩いていくのかな最初から平行線の人もいるし ねじれの位置にいる人もいる その人たちは多分私を認識すらしていない だからまだ期待せずに…

流体

君は流れる体を持っているまるで液体のようにするすると掌から抜け落ちる笑顔すらも一瞬で流れさせる誰も君の受け皿を作ることはできず君はいつも独りで流れている壊れた受け皿に寄り道しては自分の雫をほんの少しだけ残していく本当は覚えていてほしいこと…

忘却

あの娘の笑顔を忘れかけているということ戦うときに涙を浮かべる癖があったということ必死に笑っていたということ瞳の中に私はいなかったということ切り揃えられた黒髪がいつも靡いていたということいつも静かにペンを握っていたということ負けず嫌いだった…

お馬鹿さん

「どっちつかずのお馬鹿さん。一体どこへ行くんだい?どっちへ行っても灰色さ。」「灰色なんてまっぴらごめん、私は黒か白がいい。混じりけなんか糞喰らえ。」「まあまあそこまで言いなさんな。灰色は灰色なりに生きているのさ。混じりけに自己を見出すお馬…

美しい世界を閉じ込めておきたいと願った少女は 瓶詰めされていた魚を殺してしまった 魚は水面を揺らしながら浮いていたが、少女のことを怨んでなどいなかった 魚は少女のことが好きであった 愛していたと言っても過言ではなかった 少女の目に見つめられなが…

武装攻撃

劣等感は一つの銃 肉体と精神の綻びを弾丸に変える 自分の欠片を掻き集め作り出す 統率する自我に逆らう超自我無力感は一つの盾 何も成し得ない自分を護り抜く 出来ないからこそ出来ることを把握できる 首を絞めることも抱きしめることもできる手焦燥感は一…

0

音楽は無を奏でている数字で書けなかったから音符にした人が作った音楽0を音にすることができなかったとっくに有を超えてしまった無は音を奏でる必要すらない0の名付け親の罪は深い無は人に思考力を与えてしまった禁断の果実は音を奪った無を知ってしまった…

音響

知らない人の声は常に殺意を含んでいる流行りの音楽はポジティブを押し付けてくるパトカーのサイレンが誰かを追い込んでいる若者を追い払うためのモスキート音誰にも聞かれないギターをかき鳴らすだけの人命を壊し有を無にすることが役目の爆発炭酸が切れた…

ピアノ

知らない人たちと並んでピアノを弾いている人々は基礎を学んだり、すでに美しい音楽を奏でたりしている私一人だけがいくら鍵盤を叩いても音を出せない冷や汗が流れる、鼓動が大きい、笑われている基礎を学んでいたものも曲を弾き始める更に美しい音楽を奏で…

コントローラ

死に続けてきた人生は賞賛に値しない 生き続けていく人生を目指していたかったドーナツの穴を一番に見てしまう悪い癖 ドーナツを美味しく食べられない悲観主義者価値と合理と意義を念頭に置かねば動けない 存在と意志と感情の手綱を引くことができないエス、…

子供と大人

冒険できる夜を過ごすことがなくなった子供たち 満ち足りた朝を迎えることがなくなった大人たち何かを感じて笑い叫び喜べなくなった子供たち 何かを求めて泣き叫び怒れなくなった大人たち死を恐れるのを知らない子供たち 生を受けたことを忘れた大人たち物語…

ホムンクルスの問い

ホムンクルスは私に問う「君の原動力は一体何かね そしてそれに定義はあるかね」私は考える 考える私を考えた人は誰 その誰かを考えた人は誰 理屈と定義に殺される誰かさん 連鎖する仕組みに圧倒されて動けないホムンクルスはさらに問う「君を定義付けている…

君が黒と共に死ぬというから

君が黒と共に死ぬと言うから 僕は君のためだけに白になった 僕は君をひたすら愛した 君はいつも美しく闘っていた 僕は君に近づきすぎて 君は僕を認知しだした 僕たちはいつの間にか 長い長い年月を交ぜあい 灰色になってしまった 絶対的な灰色 曖昧の象徴の…

願い

今にも消えそうな光が闇を照らしている その光は周りを一層暗くする ほんの少しあの娘が笑った気がした さよならすら、言えなかった 君が何に変わったって見つけだしてあげたいよ 君に会える世界線を探したい 君の微笑みが焼き付いて離れない 美しい焼きごて…

おやすみの前に

少しばかりの寂寥が、夜のしじまをすり抜ける 後悔も諦めも慣れきってしまって、大人は子どもの気持ちがわからなくなる バカだなと他人を嘲笑し、少し羨ましくもなる 昔仲の良かったあの子は、一体今何をしているのだろう みんなは私のことを思い出すことは…

人々

数々の死体を踏みつけ生きてきた人々は 自分が誰かに踏みつけられるのを良しとせず 非常に傲慢に生を使いこなしている 死を理性的に受け入れたいだけの人々は 諦めと欲望との間で藻掻き苦しみ 非常に高慢に死を押し付けあっている 生も死も何もかも考えたく…

朝焼け

朝焼けはいつも人を殺す 毎朝人は死んで、そして生まれ変わる 静かな水色は緩やかに首を絞める 澄んだ空気は爽やかに呼吸を止める 朝日は最後の瞼を閉ざす 毎朝人は死んで、そして生まれ変わる おはようは産声、おやすみは遺言 私たちはいつもさよならしか言…

紙飛行機

僕の未来は例えるならば、薄い一枚の紙だ 何かを書き加えることも、破り捨てることも、少しだけ折ることもできる 人はいつだって、未来の自分に対してだけは独裁的だ 期待をすることも、絶望することも、紙切れに対して行われているんだ 僕の未来は薄すぎて…

結果論

生き急ぐヘッドライトは 視界に入れずに 負の符号で楽譜をかいて 吐き捨てていく夜 大きな歪は 五感を遮断して 外側を奪っていく 細かなノイズは 震えを止めずに 内側を壊していく 立ち竦んで 僕は目を見開いて 世界を把握 認めろよ 孤独を 暴力を 生きさせ…

何処にも

何処へ向かっているのだろう ながくながく歩いて来たのに 未だに何処にも着いていない ただがむしゃらに足を動かし ただひたすらに呼吸を殺して ただぼんやりと鼻歌を歌って きつかったのか、苦しかったのか 楽しかったのか、悲しかったのか 過去の全てを忘…

大人

土曜日の使い方を忘れた 時計の針が音楽を奏でない 呼吸と鼓動を感じない カラフルが身に堪える 雨や雪を無条件に貶してしまう 高いところに登らなくなる 感覚と感情を消して、我慢と計算を覚えた 僕は立派な大人になれたよ あとはもうただ死ぬだけの大人に